

作品紹介
北近江合戦心得シリーズ



姉川忠義 北近江合戦心得〈一〉

元亀元年六月二十八日、浅井・朝倉勢と織田・徳川勢が激突した姉川の合戦が、弓の名人・与一郎の初陣だった。父・遠藤喜右衛門が壮絶な戦死をしてから三年、家督を継いだ与一郎と、郎党の大男・武原弁造は、主君・浅井長政率いる四百の兵とともに巨大な山城・小谷城の小丸に籠っていた。まさに風前の灯だった。長政から、十歳になる息子の「万福丸を連れて落ち延びよ」という命を受けた与一郎。死にゆく主人から嫡男を託されて、古風も美意識も矜持も吹き飛んだ。浅井家再興がなるまで守り抜く。
与五郎と改名させた万福丸を弟に仕立てて、小谷城脱出を決行する与一郎。供は、元山賊の頭目・武原弁造ただ一人。天正元年八月二十八日未明、三人は敦賀を目指して出立した。




長島忠義 北近江合戦心得〈二〉

「ええか、浅井家を復興したくばワシに忠誠を尽くせ」
浅井旧臣で弓馬の名手・遠藤与一郎は、於市を通じ秀吉と取引をしたーー長政の遺児を匿ってもらう代わりに、羽柴家のため働く。
ただし、足軽からの登用である。
早速与一郎は、朝倉方を即裏切った守護代への不満と一揆の機運が高まる越前への潜行を言い渡される。元山賊の郎党・弁造と共に奮闘する最中、信長が三度目の長島一向一揆討伐を発令。今度は秀吉の弟・長秀の麾下三百人に組み込まれ、長島に急行することに。長秀は、兜武者を十人倒せば与一郎を士分にしてやると言うが……。織田勢十二万と一揆勢十万が対峙する伊勢湾、命運をかけた大激戦が始まる。
忠義一途、再起奮闘の戦国物語、第二弾。


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天王寺忠義 北近江合戦心得 〈四〉

武田との決戦を終え、晴れて士分となった与一郎。だが、射手の要である肩を脱臼した上、普請中の安土城を批判したことで、早くも秀吉の勘気を被り評価を落としてしまう。激高する秀吉をとりなしてくれたのは、彼の実弟である長秀(秀長)だった。与一郎は、武辺者を欲しているという長秀の直臣となることに。派手好きの織田家中で、地味で質素に暮らす長秀とは馬が合いそうだが、秀吉から「見捨てられた」という感は否めないーー。
そんな折、足利義昭の奔走により、信長包囲網が再結成された。対する信長は石山本願寺に光秀らを差し向けるも、雑賀党の鉄砲隊を前に織田勢は壊滅。一揆勢一万が、わずか五百の兵で天王寺砦に詰めた光秀を包囲した。救援のため自ら単騎で駆け出した信長を、与一郎と、男装し「弦丸」として家来になった於弦が追う。旧主の仇・信長と共に戦うことになった与一郎、名誉挽回なるか!?
元浅井家忠臣の視点から苛烈な織田家中を描く戦国出世物語、悩める第四弾!




信貴山忠義 北近江合戦心得〈五〉

女難大敵だ、与一郎!無茶振り続く第五巻
旗印は「正直無双」!女難大敵、腐るな与一郎!
上杉謙信と雌雄を決すべく織田諸将が北陸に集う中、すでに狙いを毛利の中国地方に定める秀吉。弟の秀長を通じ藤堂高虎を播磨に派遣する一方、与一郎が帯びた密命は、於市への無謀な求婚の仲介だった。気乗りしない任務に加え、逆恨みされている侍女の暗躍、於弦の子の処遇――馬鹿正直な与一郎の気苦労は絶えない。
やがて、摂津で松永久秀が二度目の謀反を起こす。
堅固な信貴山城を落とすため、与一郎組が配置されたのはたった三百人で急勾配の斜面を攻める搦め手の別働隊。成り行きから思わぬ好機を掴んだ与一郎、ある大役を果たすことができるか!?
徳川方「三河雑兵心得」と対をなす、豊臣方の戦国出世物語。
無茶振り続く第五弾!

